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『好き。』
レンズを通すと
今までの景色全部を独り占めしたような優越感があるから。
ピントが合いシャッターを切る、ほんの数秒間は、本当にわたしのものになってしまったんだと
息を忘れてしまうくらいの幸福感がわたしを満たすような
ひどく短いその時間に息がつまるような
交差してるんだ。
極端に離れたことなのに、ビー玉とビー玉がぶつかり合うみたいに。
はじかれた両方が恋しくて
世界をもっと閉じこめたくて
わたしは撮るんだと想う。
ずっとずっと撮るんだと想う。
『世界がわたしのものになってしまうんだよ。』
「うん。」
わたしの話を聞くときのこの人はやさしい。
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