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『すぐに奪われてしまうけど。』
少し離れて座った距離感。
「うん。」
なのに山戸くんのちいさな相槌は、なんだか耳元で聞こえているみたいでくすぐったい。
「僕には見えない。」
わたしはふと、カメラをさわっていたみたいに、いつもシャッターを押している指先へと意識が飛んだ。
山戸くんは似てる。
わたしがのぞきみる世界と。
凄く近くにあって、簡単に閉じこめてしまえるのに
すぐに逃げていなくなってしまうところが。
『山戸くん。』
「なに?」
わたしに捕まえられてしまえばいいのに。
『明日も明後日も一緒にいて。』
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