溶けないキャンディー

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『山戸くん。』 「なに?」 なんでこの人わたしと一緒にいるんだろう。 『帰らないの。』 「帰るよ。」 なんでずっと笑うの? 机に軽く腰掛けて笑いながら言う山戸くん。 『さよなら。』 カタンと音をたてて規則正しく直される椅子。 「またね、花ちゃん。また明日。」 山戸くんの声を背中にしょってわたしは足早に図書室を出る。 校門まで行くと見慣れた後ろ姿。 あー わたしはゴソゴソ鞄をあさってカメラを取り出す。 カシャン 乾いたシャッター音がゆっくり鳴り響く夕方。 「あ、はな…。」 .
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