溶けないキャンディー

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振り返った彼は里中 潤。 わたしの幼なじみ。 真っ黒い髪の毛が無造作にはねて まるで癖毛と寝癖があっち向いてほいをしてるみたいだなあと想う。 「遅いって。結構はずかしいんだからな。他校の校門で待つの。」 ガシャッと立ててあった自転車の足かせをはずし わたしの手から鞄を奪うと 俺の後ろ姿撮った、とか 鞄軽すぎ、とか今目の前にあることをわざわざ言葉にしてから 「ほら。」 と荷台に座るようわたしに合図を送る。 潤はたくさん話す。 ちいさい頃からずっとそう。 わかりきっていることも 声に出してわたしに話す。 .
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