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小さいころから隣にいる潤は
何かとわたしのことを気にかけてくれて
潤がいたからわたしは今生きてるのかも…と思うことがたまにあったりする。
ただ潤は
わたしを甘やかしてやまないんだ。
『毎日迎えにくることないのに…。』
「あ?」
『ね、つかさうまりょうたろうって知ってる?』
「つかさうま?誰だそれ。」
『知らないっ。』
「なんだそりゃ。」
軽く後ろを振り向き笑う潤に
わたしもくすくすと笑って、なんだそりゃ、と声に出さず言った。
自転車は心地よく風をきって走る。
車輪はたまにガタガタと揺れてお尻が痛む。
この痛みはわたしを
ひどく残酷でずるいわたしを
はやく、はやく、はやくと、潤から引き離そうと催促する。
それでもわたしは離れたくなくて、潤の腰に手を回して強く抱くと
おでこを背中にくっつけて
呪文のように呟いてる。
『いなくならないで。』
「くすぐったいって、花。」
溶けることを知らない甘いキャンディーを。
わたしは離したくない。
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