ダンデライオン

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ダンデライオン

「行ってらっしゃい。」 潤くんによろしくね。と父母はわたしに言う。 わたしの家は父・母・わたしの3人の家庭で さしてお金をもってるわけでもなく、やさしい父に明るい母 少しカントリー調のこじんまりとした家に所狭しと飾られるハンドメイドのパッチワークだったり木の雑貨だったりが両親のあたたかい雰囲気にそっと重なり合う。 にこやかに話す両親にわたしも頬をゆるませながら ローファーのつま先をトンと落として玄関の扉を開ける。 『おはよ。』 「おはよー花。」 わたしはいつものように荷台に腰を下ろして潤の着るシャツの裾をつかんで『行こう。』と声をかける。 「出発しんこー。」 相変わらず寝癖の強い潤の髪をわたしは指先ではじいて遊びながら、昨日より少し暖かくなった風に鼻をくんくんさせる。 「くすぐったいって、花。」 潤はわたしが触れると決まってくすぐったいって言う。 無防備な潤にわたしまでくすぐったい。 .
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