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俺と彼女の関係は、ごく単純に表せる。
セフレ。
ただ、それだけ。それだけだ。
secret one ‥ 君の影
ベッドの軋む音、纏わり付く熱気、聴覚を満たす甘い声。
今日も彼女は貪欲だ。
けど俺は知っている。彼女をこれほどまで貪欲にさせる理由を。
「また別れた?」
「…なんで」
「いつもよりしつこかったし」
「あんたにはなんでも分かんだね。…なのになんであいつには分かんなかったんだろ」
「そりゃー俺の方がユウカさんと長いからじゃないっすか」
隣で枕に顔を埋めながら彼女は何か呟いたけれど、くぐもる声では聞き取れなかった。
「なんすか」
「なんでもない」
「気になるじゃないっすか、言って下さいよ」
枕に埋めていた顔をこちら側に見えるように向け、彼女はとんでもないことを言ってくれた。
「タツとだったら上手くいくかなって」
「…そりゃユウカさんとは体の相性バッチリですから?夜の営みなら上手くいく自信はありますよ」
俺は彼女とは反対の方向へ向き直り、寝る態勢に入る。
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