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抱き合いながら俺は口にしていなかった疑問をぶつけた。
「…ユウカさんはいっつもこんな風に男食ってんの?」
「……さぁ?タツキはどっちだと思う?」
熱く零された息に俺は首を横に振り、わからないことを伝えた。
彼女は笑っただけで、答えは教えてくれなかった。
翌日、俺は友人の電話によって呼び出された。
情事のあと一人で先に帰った俺は、先輩に挨拶もないままだったのがよくなかったらしい。昨夜は先輩に彼女を紹介されるついでのナンパという話しだったからだ。
「サトル、先輩は?」
「今は彼女さんいるから落ち着いてる。つか、機嫌いいよ。あの先輩がベタ惚れみたいだし。」
「は、まじ?どんだけだよ、その女」
「俺は普通に可愛いと思ったけど特にってわけでもねーから…床上手とか!」
「ばーか、言ってろ」
冗談を交わしながら喫茶店に入ると、目に飛び込んできたのはカップルのキスシーンだった。
「ようタツ、これが俺の女」
「…よろしくタツ、くん?」
にこりと笑っている先輩の彼女に俺は見覚えがある。
前日に体を重ねた、あの女性だ。
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