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薄暗い夕方の教室
沈む夕日に照らされる少年と少女
「やめるお!お願いだからやめるお!」
声を張り、叫ぶ少年
「………………これしかないのよ……」
それとは対照的に落ち着いた様子で静かに返事をする少女
「ブーン…私の思い……あなたに託すわ」
少女の静かな、しかし凛とした声が少年の耳に響く
そんな少女を止めようとする少年の訴えは弱々しいものだった
「だめだお!…………ツン………そんなこと言っちゃ………だめだぉ…」
それでも少年はどうにかして止めようと必死だった
そんな少年を見て少女は優しく微笑む
「私一人のお願いじゃないの。皆の願いなの…………分かって…」
「分からないお!そんなの全然分からないお!」
少年の目からはいつの間にか止めどなく涙が溢れていた
少女は優しく少年に言う
「あなたならできるわ………」
少女の頬に一筋の線が伸びる
線の先は顎へと伝い、雫となって床へと消えていく
…じゃあね……ブーン……大好きだよ!
少女は精一杯の笑顔を向ける
とても今の状況には似合わない
無邪気に遊ぶ子供のような笑顔だった
「ツン――――!!」
ほんの一瞬だった
向かい合う少年と少女
夕日に照らされて教室の壁に伸びる二つの影
そのひとつがゆっくりと
ゆっくりと短くなり、教室の床へと、消えていった
少年は直ぐ様少女の元へ駆け寄る
少年は静かに眠る少女の肩を抱き上げた
何で、こんな……
こんな…………こんな…………
「ゔあ゙ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
誰も居なくなった校内で少年の泣き叫ぶ声だけが虚しく響いた
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