第一幕『幕開け』

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蝉が鳴く耳が痛くなるような高い音[ね]じりじりと照りつく真っ赤な灼熱の太陽の地にこの音はいやになるぐらいよく似合っていただかこの夏の風物詩のひとつももう終わりになりかけていたころだった太陽は相変わらず飽きもせず私達を見下ろしオレンジ色に輝く光を注ぐだかそんななかでも町には少しばかり秋風が舞っていた秋風とは言うがまだ肌寒くもなく行き交う町の人々涼しげな服装に身を包むもう夏も終わりというのにこの町にはその気配すらいっこうに現さない涼しげな夏を演出しているようだそんなころ悪夢の開幕ベルが今なりひびこうとしていた..夢だと思いたかったでも現実はそんなに甘くなんかなかった私の携帯に一本の電話が入った今から思えばこれが惨劇の開幕ベルだったのかもしれないその電話の内容は信じ難い内容だった私の家族同然の大切な大切な親友が自殺未遂をして意識不明の重体..だと..夢ならどんなにいいことかただの悪い悪夢夢から覚めればまたあなたの優しい笑顔に逢えると思っていたのに 私にはとても過酷な現実覚めりどころか堕ちていくばかり.. 私は親友の運ばれた病院の病室に急いで向かった普段あまり走らない私でもこの時ばかりはなぜか速く走れた全速力で走っていたので道ゆく看護師さんに[病院内は走らないで下さい!]と何度も言われてしまったがそんなことに気を止める余裕を生憎今は持ち合わせていないので速度を落とさずに全ての注意をまるで自分のことではないかのように戸惑うことなく向かった
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