第一幕『幕開け』

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親友が運ばれたのは東病棟の一番隅6009号室私はようやく見つけた病室に一目散に駆け込んだ辿り着いた時には私はもう肩で息をしていた病室には私の荒れた息遣いが虚しく響くエレベーターを使えばもっと速く着くことができたのだが生憎今の私はそこまで頭が回らない程焦っていた 辿り着いた病室には見慣れた三人の人間がいた一人目は漆黒の闇のような色をした髪を結い上げて肩までかかる長髪に深く澄んだ瞳は強気があり美しい深海のブルーの色をした美しい少年南野光 二人目は少し猫毛な髪をもち雛姫もとい氷向雛姫と同じ色をもった薄い金髪に瞳はずっと見ていても飽きない程の美しく溢れんばかりのひすい色をした見事な瞳そしてその瞳にふさわしい強い眼差しこれまた美少年陸ノ海斗そして最後の一人はここはお決まりでやはり美少年海斗同様少し猫毛な髪色は其ほど濃くもなくかといって薄過ぎない程よい茶色の髪瞳は先ほどの二人とは打って変わって優しげでどこか儚さを合わせも持ち汚れを知らない程美しい藍色の瞳そして極めつけがメガネがよく似合う…いや彼ほどメガネが似合う人はいないだろうと思ってしまうぐらいよく似合っていた大袈裟だが人目見ただけで思ってしまう もうメガネが体の一部のようだそんな美しきメガネの貴公子蒼威拓斗彼らは幼い頃からの由衣同様大切な親友 そして彼らの向こうには見慣れ過ぎた人間の姿が…… 『由衣っ!!』 そのむこうにいたのは白いべっとに横たわる親友の変わり果ててしまった姿少しそばへ寄ってみれば以前よりも頬が痩せており艶のある美しい髪も今はその面影すら見られない 少し寄っただけで人目でわかるということは相当なものだ
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