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「おい。
聞いてんのか?」
「聞いてますよー」
頬杖付いて、ペンをくるくる回して。
顔は教科書を向いてるけど焦点が合わない。
なんか叱られてるっぽいけど、ローテンションでスルーする。
…気になる。
奴が誰を好きか、なんて。
他人の事なんだから放っておけば良いと思う。
実際、俺には関係無い。
…でも気になる。
はぁ。
て、溜め息付いて。
目の前の問題について奴が何か説明してるけど頭に入って来ない。
「いい加減にしろよ!」
べしん!
て、叩かれた。
手には丸めたノート。
「って!」
「聞いてねぇだろてめえ」
「聞いてますって」
嘘です。
聞いてません。
ご免なさい。
コロン、て。
奴が机に持ってたペンを転がす。
「休憩。
寝るなり顔洗うなりしてこい。
お前、今日全然ダメ」
「はーい」
言って、俺もペンを机に転がして。
だらり、と椅子の背凭れに体重を預ける。
ギシ、と音がして。
奴が雑誌を捲る音だけが部屋に残った。
「なぁ。
センセ?」
「んー」
もう
我慢できない。
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