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他愛も無い話をする事も無く。
奴は本題をきりだした。
「で?
俺の好きな子。
誰だか教えて欲しいんだっけ?」
足を組んで、机に頬杖付いて。
此方を見て、ふんわり微笑ってはいるけど。
少しだけ悲しそうで辛そうな表情で。
同意を求められる聞き方をされて。
こくり、声を出さずに頷いた。
「そっか」
緩く微笑った表情を崩さない侭。
視線を落として、又口を開く。
「じゃあさ。
教えてあげるから。
一個、条件飲んでよ」
「条件?」
「そ。
大した事じゃないから」
どうせ又、変な事言い出すんだろうな。
まぁ、良いか。
位に考えて。
俺は。
容易く頷いた。
「いーですけど?」
「そ。
良かった」
微笑して。
細めた目蓋から覗く琥珀の瞳。
窓から入る夕映えに
金を帯びる柔らかい髪。
どうして。
こんな綺麗な人がいるんだろう。
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