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見上げた瞳を確りと見詰め返して。
口を開いた。
「やっぱりイイや。
聞きたくない。
言うなよ」
心臓の痛みはいつのまにかなくなって。
心は酷く凪いでいて。
「聞いてアンタがいなくなるか。
聞かないでアンタとこうしていられるか。
選べって言うなら…」
笑みを湛えていた奴の口元が
次第に歪んで。
「俺は。
なにも聞かないでアンタとこうしてる方を選びたい」
きっぱりと言い切ったら。
「そっか。
でも…」
刹那。
きゅう、と。
抱き締められて。
「もう遅い」
綺麗な人が
呟いた。
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