7322人が本棚に入れています
本棚に追加
/472ページ
.
「しずかちゃんが俺の事気に入ってくれてるのは知ってる。
でもそれは、家庭教師としてで。
俺が好きだからって訳じゃないだろ」
「わかんね」
この気持ちがなんなのか。
考えても考えても。
名前の無い感情がそこに存在するだけで。
「けど…
アンタがいなくなるのは嫌だ」
駄目なんだ。
いてくれなくちゃ。
「俺は。
アンタがこの部屋で、へらへら笑ってるのが良い。
好きな奴いるって知って。
誰なのか気になって。
でも、アンタ辛そうな顔ばっかりしてるし。
様子おかしくなるし。
俺だったらそんな顔させないのに、とか思うし。
アンタと居ると調子狂うし。
アンタ最近矢鱈綺麗だし。
抱き締めたいし。
キスしたいし。
訳分かんなくなるし。
最悪。
ムカつく。
意味わかんねぇ」
髪の毛引っ付かんで頭をガシガシかいた。
溜まってたもの全部吐き出して。
スッキリした筈なのに
なんか違う。
バカは不便だ。
伝える術が言葉しかないのに。
その言葉さえまともに紡げない。
「しずかちゃん…」
くっく、と。
声を殺して。
なんでわらってんだよ。
.
最初のコメントを投稿しよう!