おわりに。

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辺りは真っ白。 獣も雪も森も昼も山も靴も虫も花も船も西も列車も時間もない空間。 ぽかんと佇む貴方の前に、一冊の分厚い本を持った天使がいた。 白の中に浮き上がる白。 ぽっかり浮かび上がる、白。 『大切な人との記念日、楽しめたようですね』 貴方の前にいる天使は、にっこり笑って言った。 『……貴方の大切な一日は、この本の中に永遠に残りましたよ』 天使は静かに本を閉じる。 様々な人の様々な思いや気持ちの詰まった、『記念日に読む本』を。
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