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「遅れてすいません!何だか凄まじい天気ですけど…桜木、ただいまより参戦致します!」
僕が自分の不幸を呪っていると、店のドアが勢い良く開いた。
頭がびしょびしょに濡れた、見慣れた青年がそこに立っている。
「先輩、待たせちゃって申し訳ないです」
頭を下げる桜木。
僕の為に頑張って来てくれたんだろうけど…今更家に帰れたって、もうデートどころじゃないさ。
『臨時ニュースです!記録的な豪雨が、何故か突然止みました』
『津波は沿岸部到達前に消えて……』
『火が消し止められました。火災による死亡者はおらず……』
『先ほどお伝えした地震ですが、どうやら誤報だった模様で……』
『隕石は急に進路を変更。地球には掠りもせず……』
……はい?
奇跡が存在すると言うならば、まさに今のこの状況の事だろう。
「本当にあの夢の天使が……」
いや、偶然だよな。
奇跡とか何とか言う前に、早く帰らなくちゃ。
もう既に、今日は始まっているんだから。
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