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私がいつお前に恩人面をしたよ。
そもそもだからなんだって感じだよ。
色々反論は浮かぶものの、ただただぽかんと口を開けて佇むことしかできない。
怒りを通り越して、呆れるとはまさにこのことだ。
というか私に助けられたこと覚えてないんでしょ?
だったら……どうして……
「なんで私に告白したの?あんたは……それでいいの?」
やっとそれだけ口にする。
だっておかしいじゃん。
彼自身が恩を感じてるわけでもなく、私のこと何も知らないのに、親に言われたからって恩返しのために婚約者になるなんて。
仙崎の表情は暗かった。
そしてポツリと言った。
「……それが、やだったんだよ……」
「え?どういうこ……」
私が言い終わらないうちに仙崎は踵を返した。
「ちょっと待ちなさいよ!ほんとに言いたいこと全部言ったの!?」
仙崎は足を止めると、振り向かないまま言った。
「あと、さ……」
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