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仙崎はしばらく黙って私の顔をじっと見つめていたが、ゆっくり口を開いた。
「頼む……」
「え?」
「俺のために弁当を作ってくれっ!!」
突然立ち上がり、手を握られた。
じんわりと汗ばんだぶよぶよの感触がリアルに感じられる。
「ぜ、絶対嫌!!てか手汗かきすぎ、きもい!!」
キーンコーンカーンコーン
「……ちっ」
軽く舌打ちして、仙崎はぱっと私の手を離す。
私を助けるように昼休み終了5分前のチャイムが鳴り響いた。
いや、むしろ助けられたのは仙崎のほうかもしれない。
これ以上あのきもい手で握られていたら確実にキレてたわ。
「じゃあ頼んだぞ、深雪」
指を2本立てて去って行く仙崎。
こっちは吐き気を抑えるのに精一杯ですが。
こうして、仁義なきお弁当戦争が始まるのだった。
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