飛べない豚は、仙崎修哉2

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キーンコーンカーンコーン チャイムの音と同時に私は身構える。 昼休みが始まった。 なんとなくだけどわかる。 このチャイムの音は私と仙崎が繰り広げる、お弁当争奪戦の開始の合図だろうと。 ガラッ 勢い良く、目を輝かせた仙崎が教室に入ってきた。 「深雪、お弁当……」 「あんたに食わせる餌はねぇっ!!」 仙崎の言葉を最後まで言わせることなく一蹴する。 たった1つのお弁当箱をしっかりと抱えた。 「なぜだ!昨日約束したじゃないかっ!!」 「してない!つうか誰がするかっ!!」 猛獣の如く牙をむいて、仙崎を鋭く睨みつける。 今なら唸り声すらあげられそうな気がするぜ! さぁ、どうくる仙崎!! しかし仙崎は私の予想とは裏腹に、しょんぼりと肩を落とすと、小さく溜め息を吐いた。 身構えていただけに、少し戸惑う。 「まぁ……予想はしてたがな」 「え?」 こっちはその言葉が予想外ですが! 「手荒な真似はしたくなかったが、仕方ない」 パッと顔を上げた仙崎は、不敵な笑みを浮かべていた。
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