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キーンコーンカーンコーン
チャイムの音と同時に私は身構える。
昼休みが始まった。
なんとなくだけどわかる。
このチャイムの音は私と仙崎が繰り広げる、お弁当争奪戦の開始の合図だろうと。
ガラッ
勢い良く、目を輝かせた仙崎が教室に入ってきた。
「深雪、お弁当……」
「あんたに食わせる餌はねぇっ!!」
仙崎の言葉を最後まで言わせることなく一蹴する。
たった1つのお弁当箱をしっかりと抱えた。
「なぜだ!昨日約束したじゃないかっ!!」
「してない!つうか誰がするかっ!!」
猛獣の如く牙をむいて、仙崎を鋭く睨みつける。
今なら唸り声すらあげられそうな気がするぜ!
さぁ、どうくる仙崎!!
しかし仙崎は私の予想とは裏腹に、しょんぼりと肩を落とすと、小さく溜め息を吐いた。
身構えていただけに、少し戸惑う。
「まぁ……予想はしてたがな」
「え?」
こっちはその言葉が予想外ですが!
「手荒な真似はしたくなかったが、仕方ない」
パッと顔を上げた仙崎は、不敵な笑みを浮かべていた。
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