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ガコッ
机と共に、目の前の男子生徒の体が飛んだ。
目の前には細長い足。
御堂には珍しいルーズソックスに包まれたそれは、紛れもない秋穂のものだった。
秋穂が、机を蹴り上げたのだ。
「女1人……つうか弁当1つに何人掛かりだっつーの」
そのままカツカツと扉の前の取り巻きに歩み寄る。
余りの出来事に呆然とする彼の間の前に立つと、秋穂は容赦なく
股間を、蹴り上げた。
「ぎ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
絶叫する男子を尻目に、秋穂が私のほうを向く。
「今だ!行きな!」
秋穂の漢っぷりに思わず傍観してしまった私は、その言葉ではっと我に返る。
廊下に向かって一目散に駆け出した。
「深雪っ、これ!」
秋穂の声に振り返ると、彼女は何か小さく光るものを投げた。
受け取るとそれは、小さな鍵だった。
それを見た瞬間、秋穂が何を言おうとしているのかがわかる。
「ありがとよ、相棒!」
私は真っ直ぐに廊下を走りぬけた。
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