飛べない豚は、仙崎修哉2

8/19
前へ
/336ページ
次へ
姿を捉えてから10秒も経たないうちに、1人が私のすぐ横に並んだ。 「君には恨みはないが、部費アップのためだ。悪く思わないでくれよっ」 そう言って私のほうに手を伸ばす。 今度こそ捕まる……!私はぎゅっと目を閉じた。 「深雪っ、伏せろ!!」 どこからか聞こえてきた声。 咄嗟にその場にしゃがみこんだ。 「ぐぁっ……」 ゆっくりと目を上げると周りには蹲る陸上部。 何が起きたのかわからず、目をぱちくりさせていると頭上から声がした。 「どうだ!俺様の殺人ラリアット!」 古臭いロン毛が腕を広げて立っていた。 それを見て、どう見ても高校生に見えない老け顔が溜息を吐く。 「ラリアットっていうかお前は手を伸ばしただけだろ」 目の前に立っていたのは、不良3人組。
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!

552人が本棚に入れています
本棚に追加