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「やっと……着いた」
階段を駆け上がり、やっと目的の場所に辿り着いた。
完全に息が切れている。
私が今いるのは屋上の扉の前。
秋穂が私に渡したもの、それは屋上の鍵だったのだ。
学園ものの漫画やらドラマでは屋上が開放されていて、生徒の溜り場になっていたりもするが、現実ではまず屋上は開放されることはない。
それはこの御堂高校も例外でなく、屋上は生徒立ち入り禁止ゾーン。普通は卒業まで一度も足を踏み入れないであろう場所だ。
女狐の如く悪知恵の働く二宮秋穂という女はそこに目を付け、どうやったのかまんまと合鍵を手に入れ、サボリ場にしていた。
ここは中からも鍵をかけることができるらしく、学校内で秘め事をするにはもってこいなのだとか。
彼女の話によると、ここに男子を連れ込み如何わしいことをしたこともあるらしい。どうでもいいけど。
もちろん親友である私は何度かここに訪れたことがあり、この鍵が何なのかもしっていた。
つまり秋穂は私に「屋上に逃げろ」というメッセージをこめてこの鍵を渡したのだ。
うまく逃げ込めれば鍵を閉めることもできるから、捕まることはない。
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