第1章

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とても綺麗な声でした。 とても優しい声でした。 ネイチャが歌を唄い終わると、ボクは耳を離しました。 「すごい上手だったよ。とっても綺麗な声だったよ。」 とボクが言うと、ネイチャはシクシク泣き出しました。 妹と弟も慌てています。 ボクが 「どうしたの?ネイチャ、大丈夫?」 と聞くと、ネイチャはコクリと頷きます。 だけどボクは心配で。 「何で泣いてるの?」 って聞きました。 するとネイチャは近くにあった棒を持ち、地面にこう書きました。 ゛嬉しかったのよ。もう二度と誰も私の歌を聞いては貰えないと思っていたのに、あなたは歌を聞いてくれた。上手だと言ってくれた。その気持ちが嬉しいのよ゛ ネイチャはまだ泣いています。 だけどいきなり立ち上がり、自分の喉をボクの耳に当て言いました。 「ありがとう。本当にありがとう。」 ボクはキョトンとして答えました。 「ボクとネイチャは友達だもん。当たり前じゃないか。」 その言葉を聞いて、ネイチャはニコッと笑いました。 ボクはその日見たネイチャの笑顔と、その日聞いたネイチャの歌は忘れないと思います。
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