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『被告人を懲役4年6月に処す。尚、未決算入は140日とする。』
逮捕から約7ヶ月の期間を要し平成15年3月26日、私が引き起こした5件の刑事事件に対する判決が言い渡された。稀に見ぬ悪徳検事に当たり法外な論告求刑を言い渡された上に、私が堅気ではないことを考慮すれば今回の判決は妥当なところか…。決して控訴はしない。それが私に出来る検事への小さな抵抗であり、男として極道としての意地だ。退廷した私は、再び拘置所に戻る為の護送車に連行された。護送車からは子供達が無邪気に遊ぶ姿や、カップル達が楽しそうに腕を組み歩く姿が見えた。私は娑婆からシャットアウトされた監獄の住人。これから4年以上も臭いメシを食わねばならない。しかし不思議と気持ちは落ち着いていた。私は極道なのだから、懲役など蜘蛛の巣に引っ掛かったようなもの。外は煌々と太陽が照り付け、私は眩しさに顔をしかめた…。
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