幼き日

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篠山千歳――彼女は忍だ。 生まれは出羽、戸澤藩。 彼女はある集落で育った。そこは、忍として生きる者が暮らす集落だった。 母親も、その両親も、彼女の周りには忍しかいなかった。   「千様、どちらへ行かれます?お一人では危ないですよ?」 「平気!母様のところに行くだけだもの!」   彼女は千[セン]と呼ばれていた。   ガサガサッ― 「かーさまー!!」 「∑千?!」 ドンッ― 「何をなさってるのですか!?」 「…貴女は‥一人でここまで?」 「はいっ♪」 「(やはり忍の血が混ざって…。)薬草を採っていたのよ。道太郎が怪我をしたから」 「道太郎が?…じゃあ、私も手伝う!」
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