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夜風に当たり、彼女は一人考えていた。
――忍になれば、今まで以上に父様に逢えなくなる
――忍になれば、もっと母様の傍に居られるのかも
――忍って…何?
「…母様ァ」
まだまだ少女だった彼女にとって、『忍とは何か』などというのは、あまり深くは考えられないモノだった。
パキッ―
『…こんな夜更けにお参りか?』
「…その声を聞くのは、ずいぶんと久しいな」
『お前、またずいぶんと老け込んだなァ……東雲』
「まぁわしは人間じゃからな……杢蔵、貴様とは違うわい」
『ちっ、相変わらず減らず口たたきやがって』
「はっ、貴様こそ相変わらずじゃな」
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