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杢――杢蔵と東雲のことは、今回は置いておこう…。
祥から話を聞いた千の母親は、彼女の部屋へと向かっていた。
「千、入りますよ」
スゥ―パタン―
「母様…母様ァ!」
ギュッ―
「…よしよし」
彼女は泣きついた。
苦しくてわけがわからなくて、自分ではどうすることも出来なくなった彼女は、母親の顔を見た刹那涙が溢れた。
母親は彼女が落ち着くまで、そっと抱きしめた。
「………落ち着いた…?」
「グスッ…スンッ……ぅん…」
「じゃあ涙は拭いて」
「…母様、私、わからない」
「何がわからないの?」
「母様、『侍は自分の信念を貫く者だ』って言ってるでしょ?」
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