幼き日

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ガタッ― 「何をしておる」 「∑ヒッ…ぁ…」 「逃げなくていいんだよ?ここにいる人達は、優しい人ばかりだから」 「…千の言う通りじゃ。少なくとも、こやつの傍におれば、誰も悪いようにはせん」   祥と東雲が話している間、彼女は一人母親が帰ってくるのを待っていた。 日が暮れ、月が顔を出し始めた頃、彼女の母親は戻ってきた。   「ただいま戻りました」 「入れ」 スッ― 「…抜かり無くやったか?」 「はぃ…」 「なら良い。下がれ」 「…お館さま」 「ふむ、童のことか?そのことなら、わしもあるのだがな。…あの男に会ったのか?」 「はい。ここへ戻る途中、お会いいたしました」
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