もう一人の智博

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夜が明けた 良平は 学校へ 行く準備を すますと 急いで 家をでた 早歩きで 武州中川駅に むかって 歩いていく 良平の家から 駅まで 100メートルちょっとなので いつも 家を でるのは 電車が くる ぎりぎりだ 「おはよう!」 後ろから 自転車で 良平を 追い抜きながら 島崎正幸(しまざきまさゆき)が 声をかけた 「おはよう」 良平が 返事を 返した 駅に つき ホームへと あがった この時間は 学生が 多く にぎやかだ 正幸も ホームへ くると すぐに 電車がきた 乗る 車両は 決まって 3両目だ 電車が 止まった 窓ガラスの むこうに いつもの メンバーの 頭が 見える 良平と 正幸は 電車に 乗りこんだ 正幸が 千島康昭(ちしまやすあき)の 隣りに 座った 中里新之助(なかざとしんのすけ)と 山中安成(やまなかやすなり)が よって くれて 席を 開けてくれた 二人の 間に できた席に 良平が座った 安成と 康昭の間に 智博が 座っている みんな いつも決まった 席に 座っている 電車の中は 学生や 通勤する人で けっこう 混んでいる 電車がはしりだした 「昨日さぁ もう一人の自分を 見たんよ!」 智博が 話し始めた 「あはははっ!! どうしちゃったの!?」 笑いながら 安成が 言った 「グチ(智博のニックネーム) 頭イカレちゃったんじゃないの? ハハハッ」 康明が からかうように 言った 「ちがーう!! ホントに 見たんだって!」 智博が 反発した 「俺に そっくりだった」 「そいつ どこで 見たの?」 新之助が 聞いた 「浦山口駅に 立ってたんだ」 智博が 答えた 「マジで!? その話! ドッペルゲンガー じゃない!? それ!」 良平が 興奮したように 言った 「言うと 思った」 新之助が あきれたように いった 「バカじゃないの!? オカルトマニアめ!」 安成が つっこんだ そんなことを 話している間に 浦山口駅に 着いた 「そこに 立ってたんでしょ?」 正幸が 言った 「そうだよ」 ドアが 開くと いつもの 人達が 乗ってきた 「本当に いたんだよ? 冗談なんかじゃないよ? マジだって!」 「はい はい わかったから」 康昭が 答えた みんな 冗談を 聞いているみたいに 話していたが なんとなく みんなは 嘘は 言っていないと わかっていた
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