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パッと見はさながら合コンの勝負服である。
そんな彼女だが、「能力」はズバリ癒し。
傷を治したり、味方を保護する為の魔法が使えるそうだ。
口には出さなかったが、「テレビでも魔法を使って他の人を騙してるの?」と言いたかった。
一応一通りの自己紹介が済み、ちょうどメンバーも揃っているということで、この4人でパーティーを組むことになった。
魔王の元へ辿り着くまでの道のりでは紆余曲折あったが、ともあれ現在に至る。
手に持った木刀がほぼ完全に剣の形を成すのと同時に、由美の魔法が魔王に当たった。
俺は裕子の防御魔法が身体を包んだことを確認してから、勢いよく魔王の懐に飛び込む。
「これで終わりだ!」
短く叫んで、魔王の腹に深々と剣を突き刺した。
「ガアアアアアアアア!!」
頭がグラグラするほどの悲鳴。
それが止んだ後、使命を果たしたかの様に魔王はゆっくりと仰向けに倒れた。
俺は腹の上に乗る形になっていたが、靴の上からでも魔王の体温が段々と失われていくのがわかった。
辺りをしばしの間静寂が包み込む。
後ろを見回すと、放心状態の仲間たちの姿が目に映った。
「終わった・・・」
暗雲が立ち込める異世界の空を見上げて、誰にともなく呟く。
次の瞬間、突然景色が真っ白になった。
驚く間も無く突然足場が無くなり、俺たちは底の見えない白い落とし穴を、今までの人生では経験したことの無い速さで落ちていた。
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