旅のしまつ

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 地球の中心部まで行ってしまうのではないかという墜落感は唐突に姿を消し、俺たちは無造作に地面に放り出された。  落ちた場所は芝生の上だが、常識で考えれば生きていられる筈も無いくらいの高さから落下した様な感覚だった。  しかし、皆傷一つ無いのは何らかの力が働いていたおかげなのかもしれない。  身体を起こして辺りを見ると、驚いて立ち尽くしたり、目を丸くするビジネスマンらしき人々とは別に、自分たち同じように芝生に投げ出されたであろう旅人が居た。  問い質した訳では無いので確証はないが、おそらく自分たちと同じようにお守りに導かれて魔王退治を目指した旅人たちなのだろう。  俺の仲間3人はまだうなりながら地面を這っていた。 それを尻目に再度周囲を見渡し、ようやくそこが新宿御苑入口前にある広場の中の芝生だと気付くのには、おそらく数十分を要したと思う。  程無くして3人が目を覚ましたが、突然引き戻された現実を中々受け入れられないようで、そのままなんとなく微妙な空気が流れた。  結構長い期間運命共同体として苦楽を共にしてきたが、「あいのり」の様な生活に息苦しさが無かった訳ではない。  自分を含め4人とも年齢も性別も別だが、ここ数ヶ月は独りでの生活が続いていたようだ。  恋人との同棲や、ルームシェアの経験があるものも居たが、そもそもこの冒険はそれらからは一線を画している。  ルームシェアは近い場合もあるが、全くの赤の他人同士が結局一年近くの間、一つ屋根の下どころか、同じ寝床で身を寄せ合うように生活を共にしてきた。  少なくとも俺は恋愛感情のようなものも芽生えたが、敢えて行動には移さなかった。  冒険に支障が出るとかカッコいいことは言わないが、どっちに転んでも自分は居づらくなると思ったからだ。  そういった気分を抱えながらも一緒に居なければならないし、独りになれたとしても限界があった。  自分なんかは特に独りの生活に慣れ過ぎているきらいがあったので、時としてどうにもたまらない気分になった。  そして迎えた今現在。 旅の道連れに対する寂しさのようなものはもちろんあるが、独りでゆっくりしたいという気持ちも無いといえばウソになる。  結局、少し皆で話をした後でお互い連絡先を教え合い、その場で解散する運びとなった。
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