第十一章 黒幕

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「そういうことで」 「あぁ。有り難う、源さん」 井上が出て行った襖を見つめた後、土方は机へ向き直った。 無造作に当番表をめくり、溜め息をつく。 「昨日も異常なし…か」 本来ならば喜ぶべきことだが、今は違う。 近頃辻斬りが横行しているのだ。 だが奴等は神出鬼没。 それに、何故か新撰組の居ない所、居ない時間にばかり現れる。 なかなか捕まえられない。 新撰組の情報を横流ししている輩が居るのではないだろうか。 そうは思っても、横流ししていると思しき輩は屯所内には見当たらない。 このままでは新撰組の面目が立たない。 最近の土方の悩みの種である。 「今日の巡察は一番隊か。…また新八っつあんに頼もう」 そのとき、襖が開かれた。
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