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「やぁーだ。久し振りなのに!」
心を離すつもりのないこの男。
高杉は頭を掻くと、呆れた顔を二人に向けた。
「おい、もう離せ。あと心、いい加減学習しろよ」
「はぁーい」
男は渋々、心から離れた。
心は苦笑いだ。
三人は火鉢を囲んで座っている。
いや、囲んではいないかもしれない。
「だからさぁ…」
高杉は苛つきを含んだ溜め息をついた。
「離れろって。それじゃぁもう変態だって」
男は心の背中に抱き付いていた。
既に、心は諦めている。
高杉の言い様に、男は眉をひそめた。
「晋作。僕が心ちゃんにこんなことをするのは、僕のせいじゃない」
真剣な眼差しで、高杉を見つめる。
余りの真剣さに、高杉は息を飲んだ。
男は断言した。
「心ちゃんが可愛いからいけないんだ」
心も(褒められているのに)高杉も呆れを通り越した。
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