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(なんで、あそこまで頑張れるんだろう。)
キリエの疑問は膨らんでいく。それはどこまでも肥大化していき、こんな状況でも思考を支配するほどに。
(何でなんだろう)
どうしてアキラは、諦めないんだろう。
今まで、キリエは諦め続けていた。
確かに魔法の才能はあった。が、それをあまり磨こうとせず、故に魔法の成績もそれ程高くない。
それは、自分以上に有能な生徒などいくらでもいるだろう。天才などどこにでもいるだろうと思っていたから。
そんな自分が、キリエは嫌いだった。
できないことを計算し、できることだけをやっていく。そんな自分が大嫌いだった。
「だから、私は変わってみせる」
降りしきる雨の中。キリエはずぶ濡れになりながらそう言った。
「こんなくだらない性格と決別して、私は変わってみせる」
誰に言うわけではない。その言葉は自分自身に向けて。
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