~始~

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『はぁっ…はぁっ…早く主にこの事を知らせなければっ…!!くそっ!!怪我などしなければ今頃はっ…』 ちらほらと雪が舞い散る渓谷を、一頭の白い狼の魔物が息を粗げながら走っている。 その白い毛の至る所に血液が着いており、大きな怪我を負っているのが一目瞭然であった。 長い距離を駆けて来たのか足の裏も擦り切れ、満身創痍の状態で彼は駆けている。 ただ一心に…主を護りたいが為に。 彼の名は鎗明(ソウメイ)。 隣国の状勢を調べに遣わされたのだが、戦乱の世に活発化してきている魔物達に幾度も襲われ、帰りが遅れてしまっていた。
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