Dream1

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フワフワの雲に包まれ、埋もれているような心地よさ。 ああ、これは夢なんだ。 朦朧とした意識の中で、ぼんやりとそう思った。 僕は夢の中で、たまに夢を見ている事に気づくときがある。 もしかしたら同じように、そんな夢を見るっていう人もいるかもしれない。 けれど僕の場合は、少しばかり特殊だったりする。 まず、夢と分かったからと言っても、自由に行動することができないという点。 まるで、物語の登場人物のように、気づいていても、夢のシナリオには逆らえない。 もう一つは、目が覚めてしまうと、見ていた夢の内容を、綺麗サッパリ忘れてしまう事。 夢の中にいる間は、またこの夢を見ているって思うのに、一度起きてしまえば絶対に記憶には残らない。 見ることを止められず、目覚めれば全てを忘れてしまう、不思議な夢。 それは、僕の悲しい過去の記憶―――  
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