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「たすく兄ちゃんも、剥いてほしいの?」
『むしろ剥かせて欲しいの!』オーラを放出する蜜柑ちゃん。
僕は頷き、お願いする事にした。
「うん、じゃあ頼めるかな?」
「合点承知、なの!」
元気よく相づちを打ち、自分のベッドへ駆けていく蜜柑ちゃん。
たとえ両親がいなくても、心から幸せな日々を送る、小さな黒髪の女の子。
正直者の僕だからこそ解る。
それは嘘偽りのない、正直な気持ち。
なら、それでいいじゃないか。
確かに、気にはなる。
けれど、それはまたの機会に、護さんにでも直接訊ねればいい。
「はいどうぞ、なの!」
ぺたぺたと足音を響かせ、こちらへ戻ってくる彼女を見て、僕はそう決める。
先ほどまでの疑問を頭の片隅に追いやり、僕は差し出されたミカンを受け取った。
「うん。ありがと、蜜柑ちゃん」
お礼の言葉を告げ、本当に上手に剥かれたミカンを口の中に放り込む。
彼女の剥いてくれたミカンは、とても甘い味がした…。
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今日は休日ということもあって、市街地はいつも以上に人々の熱気と喧騒で溢れかえっていた。
「はは…そいつは夕日さんらしいな」
「笑い事じゃないよ!義理の姉による貞操の危機が毎日訪れるんだから!」
「そうか。祐、お前の友人として一つ言わせてもらおう………羨ましいぞこのヤロウ」
「健介、キミの友人として一つ言わせてもらおう………脳味噌かち割んぞコノヤロウ」
昨日とは打って変わって、雲一つない晴れ渡った空。
所々水たまりの残る、様々な店が建ち並ぶ雨上がりの通りを、僕はガタイのいい幼なじみと共に、人混みを掻き分けながら進んでいく。
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