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「じゃあ、退院したら一緒に行こうよ! 兄ちゃんが連れていってあげるから」
妹は、目を輝かせました。
「ホント? あたし、観覧車も乗っていいの?」
「うん、なんだっていいよ。 雷魅(いずみ)の病気が治ったら、必ず連れていって、百回くらい乗せてあげる!」
約束だよ、とぼくが言うと、妹はとても嬉しそうに笑いました。
その笑顔が、ぼくはとても嬉しかったです。
二人で笑い合いながら、ぼくたちは約束の指切りをしました。
指を離すと、お父さんとお母さん、それから、お医者さんと看護師さんたちが、お部屋に入ってきました。
今日はいよいよ、妹の手術の日なのです。
ぼくたちのお話が終わるのを、待っていてくれたみたいでした。
時間になり、妹がお医者さんたちに連れていかれました。
手術室へ入っていく妹。
その後ろ姿を、お父さんもお母さんも、心配そうに見つめていました。
けれどぼくは、妹は絶対にだいじょうぶだと、信じていました。
だって、約束したのですから。
必ず一緒に、遊園地へ行くって。
ぼくは両手を合わせて、手術が成功しますように、一緒に遊園地へ行けますように、と、目を閉じてお祈りしました。
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