奇妙な感覚

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大富豪をしながら他愛のない会話をする。 決まって誰かが言う。 「どこに住んでるの?」 「いくつ?」 何度も同じ質問に答え、 何度も同じ会話をする。 しばらくして部屋を出て、また別の部屋に入る。 そんなことを何度続けただろう? もう、夜中の3時か。 大富豪をやめて、自分のプロフィール画面に戻る。 何人もの足跡があって、 たくさんの書き込みが書かれている。 こうやって繋がっていられるんだ。 私は驚いた。 今日、大富豪した人達からの書き込みがたくさんある。 この人、誰だっけ? たくさんありすぎて、誰が誰か分からない。 もう少し覚えてないとダメだったかな? 現実世界でも、人の顔と名前を覚えるのが苦手な私。 モバゲーの世界でも響いちゃうもんなんだ。 私は、ユリに私みたいな人になってほしくなかった。 書き込みをくれた人のところへ行き、返事を書く。 人との繋がりを大切にしよう。 ユリにはたくさんの友達を作ってあげよう。 私は自分で作りだしたユリが可愛く思えてきた。 すべての人に書き込みを返し、寝ることにした。 携帯の見すぎで少し疲れた。 私はしょぼしょぼする目をこすりながら携帯を閉じた。 結局、朝からモバゲーをしてただけで何もしていない。 お腹も空いてない・・。 何も食べなくていいかな。 何処にも出かけてないし、お風呂にも入らなくていいかな。 私は、携帯を握り締めたまま夢の世界へと堕ちていった。
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