奇跡のカタチ🍀知らない場所

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重い目を開けると、 そこには雲ひとつない碧い碧い空。 足元で揺れる青々とした草花たち。 心地よい風が吹き抜ける知らない場所。 僕は何も思い出せなかった。 僕の名前以外何も。 これは悪い夢じゃないか、と思ってもう一度目を閉じた。 するとそこへ一瞬だけ強い風が吹いてきて、 僕はよろめいて後ろへ転んでしまう。 次に目を開けると、 先程と変わらない風景の中に、 いつの間にか白くて大きな木が目の前に立っていた。 その木には限りなく透明に近い赤色をした実がなっていて、 ひとつちぎってみる。 すると、その果実の中に何かの映像がまわりだし、 それに驚いた僕は思わずその果実を地面に落としてしまった。 ただただ目の前の大きな木を不思議そうに眺めていた僕。 そして、気付いた。 木の影から僕を見ていた、僕よりも幼い男のコに。 そのコは優しく微笑んで言った。 「この木は記憶の木だよ。君だけの、ね」
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