第二幕…激昂、月光、吠えて

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(…背中が、痛い……) (このまま眠れたら…) ――ズキンっ! 「う……ッ!!」 意思を失う事も許さない背中の傷。猛烈な風を背に感じながら、シンは目を開けた。 あそこから落ちたのだろうか――いつの間にか現れた、青白い冷たな光を放つ、大きな大きな星。その周りを随分と小さな星が周回している。 まるで星空に包まれるようだ――汚れた日本の空からは決して見えない星々が輝いていた。 (…俺、落ちてるよ…) (このまま…死ぬのかな) あるいは、"死ぬ"と自覚していないからか。心は、いっそ不自然なほど穏やかだ。 体勢を変えようと手を伸ばし――それが空中ではバランスを崩すとも知らずに――たちまち風にあおられる。 「ぅわ…!?」 両腕をばたばたさせて、何とか安定させようとするシンの目に飛び込んで来たのは―― 「…すげぇ…きれい」 深い緑と闇が混じりあった木々はなだらかに天へ向かい、山を作り出す。ところどころきらりとするのは、あの星の光を借りて輝く川の流れ。谷を越え緩やかに大地を潤し、遠くとおくの海に注ぎ込まれていく。 本でも美しい国を見たが、ここはそれ以上の感動と衝撃を与えてくれた。 そして眼下には―― ごつごつとした岩場が広がっていた。
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