第二幕…激昂、月光、吠えて

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「ぅわああぁぁあぁぁぁぁ!?」 ようやく自分の立場を理解したらしい。 (死ぬだろこれはぁぁぁ!!) 「助けて!!!」 空中の悲鳴など、誰が聞くだろう。シンは錯乱状態に陥っていた。 「――うるさい」 そんなシンの頭上に、いきなり降ってきた重々しい声。 「先程の冷静さはどうした?」 「ケルオマ!?」 声の持ち主はふわりと、宙を移動してシンをその背に乗せた。助かった事に、深く安堵した。 そう――あの本で見た、漆黒の狼。 しかし彼は"ケルオマ"呼ばわりされた事に、少々ムッとしたようだ。 「私には、ちゃんと名前がある」 「え…ケルオマって名前じゃないのか」 本よりも艶やかに、強い意思を持って燃え盛る瞳の中の炎が一瞬――ゆらり、と揺れた気がした。 「ケルオマとは… 神が悪戯に生み出したもの。機械の体に獣の魂を埋め込んだ、半機半獣の化け物の事だ」 「化け物…」 「私は、レリエスという」 「あ、俺は…――」 「ミナモト シン」 シンの言葉を遮って、くつくつと笑うレリエス。シンのびっくりした顔に、にやにやしている。 「そういえば…俺をあの時助けてくれたの、レリエスだよな!?」 逃げろと言ってくれた声が、今も耳にこびりついている。間違えようがない。 「そうだ」 「どうなってるんだよ!!なんなんだアイツらは!!どうして俺がこんな目に遭うんだ!?」
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