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背の上で叫ばれて、レリエスは耳をぴくぴくさせた。彼なりに迷惑がっているようだ。
「…そういうのはな、シン。自分で――」
「レリエス!!あれ!」
「――!!!」
レリエスは耳を前方に集中させた。
空気が、ぴりぴりしている。ぴんと張った緊張の糸が、シンに冷や汗をかかせ、レリエスを唸らせた。
――ぽちゃん――
空が、歪む。
真っ赤な滴は空に大きく波紋を作り、人が両腕を伸ばした大きさで安定している。その波紋の中央――そこから、真っ赤な不透明の袋状のものが、大地に向かってどろりと伸びていった。
「何アレ!?気持ち悪ィ」
「もっとキモイのが見れるぞ」
「え"…レリエス、キモいって…」
「――来るぞ!!!」
最初に見えたのは、爪。
長い爪で袋の内側から、袋をゆっくりと裂いていく。大人が通れるくらいの穴があくと、両縁に手をかけ、「それ」は姿を現した。
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