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まるで爪の化け物だ――シンは恐れと、込み上げて来る強烈な吐き気を抑えるのに必死になった。
腕の長さほどもある爪は10本あり、それが蜘蛛のように5本ずつ体の両脇から伸びている。先端にいくほど血の色を帯び、鋭さを増していた。顔と思しき部分には天地逆様になったドクロが。目の代わりに穴の空いた空ろな空間を、シンに向けた。
「あれはドゥーガだな」
「ドゥーガ?っつか、やばいだろ!早く逃げようレリエス!!」
「ばか、苦しい!!」
太い首に手をかけ、ぐいぐい引っ張るシン。ブンっと首を振ってシンの手をほどくと、犬歯をむき出しにしてドゥーガを低い唸り声で威嚇した。
その威嚇に呼応するかのように、最初に出てきた「繭」から、数十匹のドゥーガが爪を脚にしてうごめき出す!
「ふん…相手さんは、逃がす気なさそうだぞ…覚悟を決めろ!」
「ンな事言われたって…!」
「情けない男だ…しっかり掴まってろよ!!」
言うが早いかレリエスは、爪を大気に突き立てドゥーガに突進して行った!
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