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オォォォォォォン!!!!
肌に当たる風が痛い――レリエスの咆哮でびりびりと空気は痺れ、ドゥーガは声の圧力に潰されたかのように動けない。
そんなドゥーガの一匹に強烈な爪の殴打を食らわせると、骨が砕けるような音とともに、ドゥーガは粉々になった。
後ろに周りこんだドゥーガを尻尾ではたき、二匹まとめて両手で押し潰す。すかさずななめ右のを噛み砕き、後ろ脚で蹴りを食らわす。
シンはそんなレリエスにふりまわされっ放しで、とにかく背から落ちないように毛にしがみついていた。
誰の目にもレリエスの優勢は明らかだった。あんなにいたドゥーガも、片手で数えるほどにまで減った。
しかしレリエスは、いきなり攻撃を止めると、未だ波紋揺らめく「繭」の側から大きく飛び退いた。
「どうした?」
「大きいのが来る…」
そう言うレリエスの瞳には、怯えの色が混じっていた。
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