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『――…起きろ――』
(……え…?)
どのくらい気を失っていたのだろうか――もしかしたら一瞬の事だったのかもしれない。シンは、頭に響いてくる声に目覚めた。
半分寝ているような体のだるさだ。シンはゆっくりとまぶたをあげた。
(!! なんだこれ…鎖…!?)
四肢にはめられた、冷たくて太い鎖の先は、白い空間に吸い込まれて終わりが見えない。
あの夢のようだ――そう思っていると、後ろから声がした。
「――だから早く始末すれば良かったのだ」
「そォだぜ~成長し過ぎィ。だぁれが片付けっと思ってんのォ?」
(何の話をしてるんだ…)
思ったように声が出ない…口を塞がれているわけではないのに。
「貴方はただ、面倒屋さんなだけでしょう?」
「違うッてェ~」
「…今から消せば問題なかろう…何をそんなに焦っておる…?」
「不確定要素は、"何が起きるかわからない"という意味、忘れた訳ではあるまい」
「では…」
男の子供のような声に続き、がつんっ!!と、何かを床に叩きつける音がした。
「全消去だ。
水本シンを、この世から消せ」
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