第二幕…激昂、月光、吠えて

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(消去!?何言ってんだこいつら…これは夢じゃないのか…!?) 「…ヘイ、ボォ~ス。こいつ、起きてるぜェ」 「あらまぁ…本当ねぇ」 二つの靴音が、近付いてくる。せいいっぱい体をよじっても、話している奴らを見る事は出来ない。 「フン…自らの意思で口をきく事も出来んらしいのぉ…」 シンは混乱した。 ――これは夢のはずだろ!?やめてくれ…、覚めろ、覚めろ覚めろ…!! 「――消せ」 ふぉんっ… 何かが、振り上げられるのを、風で感じた。 (覚めろ――!!) グァオォォォォォォォ!!! 『逃げろ、シン!』 空気を叩き付けるような獣の咆哮とともに、シンの体はふっと軽くなり、鎖がかき消えた。 「――何ィッ!?」 しかし振り上げられたものはその勢いを止める事は出来ず、シンの背中を斬り付けた!! 「うわあぁあぁあぁぁ!!」 痛みと突然の自由に、シンは今まであげた事のない悲鳴をあげた。 (痛い…!夢じゃ、ない!!) 前方へ倒れこむ。いや――前へ、落ちる。 「チックショウ!誰だァ!!」 「追え!!捜し出せ!!」 「逃げますよ!?」 (何なんだよ、一体…) 彼らが騒ぎ立てる声は遠のき――シンは、生温い風の中へ落ちていった。
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