「俺を誰だと思ってやがる?」

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最近学校ってのがどんどんマンネリ化して来てる。 そりゃ、今に始まったことじゃねぇってことは分かってンだが、ここのところは特に酷い。 つい2ヶ月程前に、妙に突っかかって来やがった不良グループを3週間かけて制圧したのだが、あれは燃えた。すっげぇ楽しかった。ムカつく野郎たちだと思ってたが実はなかなかに熱い奴らで、正に俺の望むべき青春だった。拳と拳で語り合い、和解した。しかしその不良グループを(流れ的に)配下にしてしまったせいで、最近の俺は平和という退屈で無価値な環境に放り込まれたのだ。あぁなんて悲惨な。 なんかこう…俺の熱い魂が疼くんだよ!! 思わず拳で空中を勢い良く切る。的が無いのがなんとも悲しい。 「おい、なんとか言えよ!!」 突然飛んできたその声。 …俺の拳が喋ったのかと思った。 見れば駐輪場へ通じる一番の近道、体育館脇の狭苦しい渡り廊下で数人の男が固まって何か怒鳴ってやがった。 …なんだ、喧嘩か? ちょっとした興奮を覚えた俺だったがその足々の合間に、小さくうずくまった背中が見え隠れしているのに気付いて、がっくりと肩を落とした。 ただでさえ狭い廊下で、喧嘩ならまだましも、リンチかよ!!リンチ!!なんて迷惑な奴らだ!!しかも男ってのがまるで分かってねぇ!!!!!別にリンチされてた奴を助けたいわけじゃないが、そいつらの腐った性根を叩き直してやりたくて、ずいずいと遠慮なしにその集団に押し入ってやった。 「おい、何やってンだお前ら」 「あ?勝手に口出してくるんじゃ、………………………っ!!!!!」 生意気に声を上げた1人は俺の顔を見て数秒の間ののち、血の気が引いたように顔を引きつらせて二、三歩ほど後退った。理由が何となく分かっちまうのはここんとこコレが日常茶飯事ってやつだからだ。 「かっ…かかカミナさんじゃないっスか…お帰りですか…?」 「………………チッ」 俺の舌打ちにもまた一歩後退るソイツ。 同じ。全くデジャブだ。 昨日と今日で何度知らねー輩にさん付けとか様付けとか殿付け呼ばれたことだか…。特に後輩の不良団の連中が多いが、どうやらあの事件以来俺に逆らうことは学校中と地元の不良達(勝手に俺の配下になった連中)を敵に回すと思い込んでるらしい。
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