「俺を誰だと思ってやがる?」

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別にそれ自体に憎悪を感じるわけじゃあねぇが、こう毎日周りにビクつかれて奉られるような扱いを受けていれば、誰だって気分悪ぃもんだ。 言っとくが俺は不良だが悪党じゃねぇ。売られた喧嘩は買う主義だが、嫌な奴が居たら関わらねーで放っておく方が利口だって思ってるし、わざわざソイツを潰す為にゴツい連中集めてこっちから喧嘩売るなんて猛烈に面倒だ。 だがどんなに面倒でも許せねぇ事はある。 「俺はなぁ、大勢が弱者を囲んで懲らしめて楽しむってのがどうにもムカつくんだよ」 「……はぁ…」 「言ってる意味、分かるよなぁ?」 軽く睨み付けてやりゃ男は簡単に「え、ええ、そ、そうですよねっ」なんて愛想笑いを浮かべてペコペコ頭を上下させた。 「…あのカミナさん、多分誤解してるかもしれないンすけど…コイツがカミナさんに会いたいって…」 「あん?」 そりゃ見上げた奴だ。なんて一瞬決闘目当ての野郎かとも思ったが、小さな背中では誰だが認識できなかったソイツが恐る恐る俺を見上げた。 「あ、アニキ」 「ぶっ」 意味は無いが反射的に息が詰まる。…いや詰まるどころか盛大に吹き出した。 ソイツは本来此処に居るべきではない存在で、今一番俺が将来を期待している奴で、実はご近所さんで、仲の良い弟分であるシモンだった。 「だっ…シモン!?何やってんだ!!ンなとこで!!!」 「転んじゃった」 「……………あ?」 これは予想外な応答だったが、ついその小さな2つの膝に目をやった。見れば廊下のビニール質な床で思いっ切り擦ったような赤く炎症した傷がちゃんと両方にある。痛そうだ。 その一番に自然な原因に思い至った瞬間、流石にむかっと来た。 「おい、てめぇら…。」 「えっ…ちっ…違いますっ俺らじゃないっすよ!!!」 何が違うんだ、と口を開こうとしたが、シモンがすぐさまそれを制した。
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